コミュニケーションエラー防止手法

1.概要

コミュニケーションエラー防止対策として「復唱」は広く知られていますが、「復唱をしていたのにコミュニケーションエラーが発生してしまった」ということは少なくありません。また、最近では「確認会話」も注目されていますが、実施方法は明確に定められていませんでした。
そこで、本研究では、事例分析に基づき2つの学習教材を開発しました。

2.学習教材について

(1)コミュニケーションエラー要因学習教材

復唱や確認会話を効果的に行うためには、「何が重要か」や「自分が勘違いをしている可能性」、「曖昧な情報」、「情報不足」に気づく事が必要です。これができなければ、肝心な情報の確認が抜けてしまいます。

情報の受け手がコミュニケーションエラーの原因になる可能性のある曖昧な表現や用語に気づくことができれば、それを復唱や確認会話で確認することができます。また、情報の送り手も曖昧な表現や用語の使用を避けることができれば、コミュニケーションエラーの発生を防止出来ます。

そこで、本研究では、曖昧な表現や用語等のコミュニケーションエラー要因に気づく能力を向上させるための学習教材を開発しました(図1)。

(2)復唱・確認会話学習

復唱は、受けとった内容をただくり返すだけではありません、やり方にはコツがあります。
また、確認会話はやり方が明確に定まっていなかったので、実施方法を整備し、具体的な会話例を用いて学習する教材を開発しました(図2)。

3.効果について

開発した学習教材の効果を、一般の被験者を対象に検証しました。
その結果、コミュニケーションエラー要因学習を行うことによって曖昧な表現や用語を避けたコミュニケーションができるようになることがわかりました(図3)。
さらに、復唱・確認会話学習を行う事によって、コミュニケーションエラー発生数は約半分に減少することを確認しました(図4)。

参考文献

  1. 中村竜、北村康宏、井上貴文、佐藤文紀、小野間統子:鉄道現場作業における情報伝達エラー発生要因と対策の検討、鉄道総研報告、第31巻、第11号、pp.11-16、2017.11

関連ページ

  1. 情報伝達ミス防止訓練教材 復唱・確認会話スキルの向上をめざして(販売・お問い合わせ:(株)テス)