機械学習による早期地震警報手法
従来の早期警報用地震計では、地震動の経験的な性質に基づいた警報手法を用いてきました。これに対し、機械学習法は人間によって明示された経験則ではなく、観測データそのものから規則性やパターンを発見し、予測や判断を行うことができます。
ノイズ識別においては、従来は列車振動が地震動と比較して高周波数成分が卓越するなどの性質を利用していました。この問題に対し、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)と呼ばれる機械学習法を適用すると、従来手法よりも高い精度で識別可能であることが確認されました(図1)。
従来の早期地震諸元推定手法では、例えば震央距離およびマグニチュードの推定に、それぞれC-Δ法および距離減衰式が用いられていました。これに対し、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)という機械学習法を適用することで、従来手法を上回る推定精度が得られることが示されました(図2)1)。
地震解析研究室では、早期地震警報システムへの導入を目指し、これらの機械学習法を導入した早期警報用地震計を試作し、動作確認試験を行っています(図3)。
参考文献
- Noda, S., “Deep learning estimating of epicentral distance for earthquake early warning systems,” Bulletin of the Seismological Society of America, Vol.114, No.4, pp.2054-2064, 2024.