車両側面カメラによる安全確認手法
1.概要
近年、運転士への安全確認のサポートを目的として、車両側面カメラを搭載した車両の運用が一部ワンマン運転区間で始まっています。そこで、車両側面カメラの映像に対して画像処理を施し、ホーム上の人物の接近状態を乗務員に通知する支援システムの開発を行っています。これにより運転士の負担軽減および安全性の向上を目指しています。将来的な長編成ワンマン運転や自動運転などの運用にも活用できる技術と期待されています。
2.アルゴリズム
車両側面カメラは、図1のように車両の前後左右の4か所に設置されています。提案システムのアルゴリズムは以下の通りです。
①車両側面カメラの映像からディープラーニングを使用して人物を検出します。
②検出された人物の情報から、足元の位置を求めます。
③ホーム上にある点字ブロックの大きさ(30cm×40cm)が決まっていることを利用し、1画素=1cmのように実際の距離と対応するプラットホームの床面を俯瞰した画像に変換を行います(図2)。この画像より、人物の位置を求めることができます。
④例えば、点字ブロック上を注意領域、点字ブロックの外側を危険領域などと設定します。算出された人物の位置から、人物がこれらの領域に侵入したことを運転士に通知します。(図3)
3.試作装置による確認
これまで、図3のように試作装置を作成し、実験によって人物の位置を精度よく検知できることを確認しました。実際の車両でもリアルタイムで動作することを確認しており、実用化に向けて現在開発を進めています。
参考文献
- 合田航、長峯望、向嶋宏記、成松宏樹、福留健二、安納亮一、太田健成:車両側面カメラを用いたホーム上の安全確認手法の精度評価、電気学会研究会資料、交通・電気鉄道研究会、TER-20-064(2020)
- 合田航、長峯望、向嶋宏記:車両側面カメラを用いた乗車人数カウント手法の検討、第27回鉄道技術・政策連合シンポジウム、2020.12