特殊信号発光機の設置位置シミュレータ

1.概要

特殊信号発光機(図1以下、特発)の設置位置の検討作業には、多くの時間と労力を要します。そこで、特発の画像を列車前方画像上に重ねて表示するシミュレーション手法を開発しました。この手法により、設置位置の検討を実地で行う手間を削減できるほか、列車運行の制約を受けずに設置位置の検討を行えます。

図1 特殊信号発光機

2.システムの構成

前方撮影画像と特発の設置位置などを入力データ、前方撮影画像に特発を表示した画像を出力データとします。
はじめに、前方撮影画像とキロ程とのマッチングを行います。次に、前方画像に写っているレール位置を参照して特発の設置位置を決定します。その後、前方画像とそのキロ程やレール位置、特発位置のデータから、現在の前方画像から見ることのできる特発の位置を求めます。最後に、前方画像上に表示する位置へ適切な大きさで特発の画像を表示します。

3.検証試験

実際の前方撮影映像と仮の特発位置のデータを用いてシミュレーションの有効性を検証しました。その結果、レールの抽出と前方撮影画像上への特発の表示を行うことができました。(図2) さらに、遠方レールの描画精度を向上させることで、運転士からの特発の見え方を仮想的に表現し、信号位置の確認と修正を行えるようになりました。今後は、奥行きのある設備への対応などにより、さらなる高精度化を目指しています。

参考文献

  1. 長峯望、鵜飼正人:特殊信号発光機の設置位置シミュレーション手法、電気学会、自動車・交通・電気鉄道合同研究会, TER-14-034 (2014)
  2. 長峯望、鵜飼正人:列車前方映像を用いた地上設備の設置位置シミュレータの精度検証、電気学会、自動車・交通・電気鉄道合同研究会, TER-14-047 (2014)
  3. 長峯望、中曽根隆太、鵜飼正人:列車前方映像を用いた信号設備の設置支援シミュレータの高精度化、鉄道技術連合シンポジウム講演論文集、Vol.23、pp.493-496、2016