8. 列車通過時の高架橋振動による電車線路設備の損傷低減対策

 桁式高架橋などの一部において列車通過時の高架橋の桁振動により架線線条が疲労破断する事象が発生しています。
 この事象の発生状況は、高架橋の桁や電柱の形式・種類によって異なることから、電車線路設備の損傷の発生条件を明らかにして、対策の要否を判定する基準を明確にすることが必要です。

 そこで、高架橋と電柱の連成問題を計算できる連成振動解析法(図1)を開発し、応答変位の解析値が営業線における実測値と概ね一致することを確認しました。
 またこの解析法を用いて、電車線路設備の振動が大きくなる条件を提示しました。
 提示した条件は、電車線路設備の損傷の可能性がある既設高架橋のスクリーニングや電車線路設備の対策工の選定に活用できます。

 また、架線線条の疲労破断が発生する電柱の振動の全振幅値を明らかにしました。
 電柱の振動の全振幅が50mm程度以上の場合にがいしの回転が制限されて架線線条に著大なひずみが発生するため、これを低減する線条支持金具構造を開発しました(図2)。
 さらに、架線線条の疲労破断防止を目的とした対策の要否を判定するフローを提案しました(図3)。

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