4. 鉄道高架橋の地震時危機耐性向上工法

 鉄道構造物は耐震設計により安全性や復旧性を確保していますが、将来、設計想定を超える巨大地震が発生する可能性は否定できません。
 そこで、新設および既設高架橋の危機耐性を向上させる工法として、自重補償構造と倒壊方向制御構造を開発しました。

 自重補償構造は、仮に高架橋の柱が破壊しても、別に設けた柱(自重補償柱)がスラブの鉛直荷重を受け換え、崩壊を防止する構造です(図1)。
 この自重補償柱の頂部はテフロンすべり構造として高架橋と水平方向に縁を切っており、地震時に慣性力による損傷を受けることなくスラブの鉛直荷重を支持することができます。
 載荷実験の結果、本震で高架橋柱が大きく破壊しても自重補償柱が崩壊を防止することを確認しました(図2)。

 倒壊方向制御構造は、仮に高架橋に倒壊が生じても、倒壊の方向を人為的に制御し、居住区域や緊急輸送道路等を守る構造です(図3)。
 これは、図3に示すブロック型デバイスを設け、倒壊させない方向への柱変形を拘束することで実現できます。
 振動台実験の結果、設計地震動の2倍以上の加振で確実に想定する方向(右側)に倒壊を誘導できることを確認しました(図4)。

 これらの実証試験に加え、応答値算定法や耐力評価法、試設計等をもとに設計法を提案しました。

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