2. 電力設備用接地システムの耐雷性検査装置

 変電所等に設けられる接地システムにおいて、雷撃のような高周波現象を対象とした耐雷性評価では、通常の接地システムの検査とは異なる特殊な検査が必要となります。典型的な雷撃の電流波形は急激な立上りを示しますが(図1)、自然現象であり立上り時間にバラツキがあります。
 そのため、従来は数μsで立ち上がる電流を基準に検査が行われてきましたが、雷に対して脆弱なICT機器等への対策には十分とは言えない課題がありました。

 そこで、新しい可搬型の検査装置を開発し(図2)、接地システム検査に最適化され、かつ可搬性を損なわない電源回路方式を新規開発して、従来よりも急峻な約0.2μsで立ち上がる模擬雷電流(図1の青線)による評価を可能としました。
 これにより全雷撃の95%程度に対しても有効な1)、より厳しい条件での耐雷性評価が可能となりました。
 また、測定データの自動処理および評価値(接地インピーダンス)の自動計算アルゴリズムの新規開発により、特殊な専門スキルがなくても耐雷性評価が可能となりました。
 これにより鉄道事業者自らによる検査実施が可能となりました。

 鉄道用変電所の接地システムで検証し、評価値は従来の緩やかな模擬雷を用いた場合に比べ3〜10倍程度となり、従来よりも厳しい評価が可能であることが分かりました(表1)。
 本検査装置は定期検査への導入のみならず、耐雷性における弱点設備の発見や、対策工事の効果検証などに活用できます。

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