10. 構造物の非線形挙動を含めた地震時走行安全性の評価手法

 既設構造物に対する地震時の脱線・逸脱対策工の導入を進める上で、新幹線の地震時走行安全性の弱点箇所を精度よく迅速に抽出することが求められています。
 旧設計標準で設計された既設構造物の応答はL1地震時において非線形領域に達する場合があり、その場合は現行の設計標準に示される手法が適用できませんでした。
 このため、地震時走行安全性の評価は、詳細な数値解析を実施する必要があり、検討に期間を要し経費が増大することが課題でした。

 そこで、車両と構造物の動的相互作用解析により、構造物の降伏に伴う非線形挙動を考慮した脱線限界について、車種、運転速度、構造物の振動特性、地震動種別等の影響を網羅的に検討し、構造物の振動変位(加速度)と構造物境界の不同変位(角折れ)の連成の影響を考慮した評価手法を開発しました(図1)。
 本評価手法の妥当性は、詳細な数値解析と比較することにより検証しました。

 本評価手法は、設計標準では対応していなかった構造物の非線形領域まで評価範囲を拡大しています。
 また、構造物の設計図書に基づき、精度よく迅速に弱点箇所を抽出でき、対策工の選定、優先順位付に活用できます(図2)。

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