6. 鉄道沿線の早期津波浸水予測手法

 地震発生直後、津波による浸水深さを正確に予測するためには、公的機関が配信する海域の津波データを直接利用した手法を開発することが有効です。
 そこで、防災科学技術研究所の津波データと事前に準備した津波シミュレーション結果を利用する早期津波浸水予測手法を開発しました。

 本手法(図1)は第1ステップとして、海域で観測された1地点の津波データと、津波の数値シミュレーションを用いて事前に準備した津波伝播関数を用いることより沿岸の津波高さを予測します。
 第2ステップとして、データベースに蓄積していたシナリオ地震による内陸の津波浸水マップから、沿岸部の予測津波高さと整合する内陸の津波浸水域を抽出します。
 このように本手法は、1地点の津波データを利用することで警報の即時性を、事前に津波伝播関数と津波浸水マップをデータベース化することで警報の安定性を向上させる独自の特徴を有しています。

 これらの手法を東北地方太平洋沖地震に適用し、正解とした内閣府モデルによる津波浸水域と検証した結果、両者の津波浸水域は浸水面積に対し90%以上の整合率であることを確認しました(図2)。
 また、津波が鉄道沿線に到達する約1時間前に津波による浸水深さを予測できることを確認しました。
 本手法より、海域での津波観測直後に、鉄道沿線に対する津波による浸水深さを提示することで、津波到達前に走行列車に避難可能区間を伝達することが可能になります(図3)。

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