5. 駅火災時の避難安全性検証支援システム

 駅火災時の避難安全性の評価は、避難口までの距離の制限などによる建築基準法の仕様設計に基づいて行われていますが、対象となっているのは駅事務室等の居室であり、一般的には駅全体を対象とはしていない現状があります。
 そこで、駅構内の火災を想定し、旅客の流動状況(避難時間)と煙流動(煙降下時間)を予測することで、駅の避難安全性を設計時に検証できる支援システムを開発しました(図1)。

 本システムの開発にあたって、避難時間の計算に必要となる駅コンコースの避難者数の算定式を新たに作成しました。
 本算定式は、駅の規模や形状の異なる実駅5駅での旅客流動調査に基づいて作成し、コンコースの面積、利用客数、動線数等を変数としてコンコースの各部分の避難者密度を算出するものです。
 これにより、従来は必要であった避難者数設定のための現地調査を行わなくても、駅構内の火災時の避難者数の分布を再現することが可能になりました(図1)。

 また、駅の既存設備を利用した避難誘導の方法として、音声放送による避難誘導効果の検証実験を実施し(図2)、放送の聞こえ方による誘導効果をシステムに組み込みました。
 これにより、避難時間をより短くするための避難誘導対策の検討が可能となりました(図3)。

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