3. 輪重減少を抑制するコンテナ車用台車の上下動ダンパ

 軌道変位により車体のローリングが発生すると、輪重が減少します。コンテナ車では、これが脱線の一因となる場合があることから、台車の上下動ダンパを改良しました。

 コンテナ車の台車には、積車と空車で減衰特性が切り替わる上下動ダンパがまくらばねと並列に装備されています。しかし、積み付け状態などにより、積荷を含めた質量はダンパの空車特性相当でも車体がローリングし易い場合があります。
 そのような条件において、一定波長で連続する水準変位による加振周波数と車体ローリングの固有振動数が合致して共振すると、まくらばね剛性が高い形式ほどダンパの減衰力が相対的に不足して輪重が周期的に減少します。
 そこで、空車から満載までの様々な積載条件に適合するダンパの減衰特性について、車両運動シミュレーションを用いて検討した結果、比較的ばねが硬い車両形式を対象に空車時の減衰特性を廃止し、かつ動作速度が10cm/sより低い領域の減衰力を強化した積車特性に統一するダンパを提案しました(図1)。

 車両試験装置においてコンテナ車1両の加振試験を行い、改良ダンパの導入効果を確認しました(図2)。
 軌道検測データに基づいた水準変位を軌条輪に与えて過去の脱線状況を再現すると、乗り上がりが生じた60km/hでは、脱線した第3軸の輪重減少率が改良ダンパにより約20%低減されました(図3)。

 荷重条件を変えた本線走行試験による確認を経て、貨物列車の走行安全性向上に向けた車両側の施策として、この改良ダンパを提案予定です。

その他の関連コンテンツ