2. 損傷箇所を制御して復旧性を向上させる支承部の設計法

 コンクリート橋りょうの支承部には、落橋を防止するため、ストッパーが埋め込まれています。近年発生した地震では、落橋に至ることはなく安全性は確保されていたものの支承部のストッパー埋込み部が多数損傷する例が見られました(図1)。
 このとき、図1①(橋脚前面)と比べて狭隘な箇所である図1②(桁端)にコンクリートの剥落を伴う損傷が生じた場合に復旧が困難となることから、この復旧が困難な箇所の損傷を抑制することが復旧作業の工期および工費の削減に有効です。

そこで、ストッパー埋込み部の鉄筋量を増やすことなく、耐力を向上させる鉄筋の折り曲げ形状と配置の影響を評価可能な耐力算定法を提案しました(図2)。
従来の算定法では鉄筋の折り曲げ形状と配置に関わらず同一の耐力と評価していましたが、載荷試験やFEM解析により鉄筋の折り曲げ形状と配置に応じて耐力が異なることを明らかにし、その影響を取り込んだ耐力算定法を提案しました。

 これにより、従来法で設計した場合には復旧が困難な桁端で損傷が生じることがありますが、提案法で設計した場合には、従来と比べて同等以上の耐力が確保でき、復旧が困難な箇所での損傷を軽微な状態に抑制できることを確認しました(図3)。
 復旧が困難な損傷箇所の復旧作業で必要となる重機を用いたはつりや足場架設をなくすことにより、工事費を8割削減できます。

 本成果は、改訂予定の鉄道構造物等設計標準・同解説(コンクリート構造物編)に反映されます。

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