5. スラブ軌道てん充層の打音による隙間検査および劣化予測

 寒冷地のスラブ軌道では、凍害によっててん充層の圧縮強度が低下し、さらに列車荷重が作用することで軌道スラブ・てん充層間に隙間が生じる場合があります。この隙間の範囲を定量的かつ効率的に検出するため、打音試験に機械学習を組み合わせた検出法を提案しました。
 スラブ軌道に本手法を適用した結果、隙間を90%の精度で検出できることを確認しました(図1)。
 また、短時間で多くの軌道スラブを検査するため、11基の打撃部が連続的に駆動する連続打音試験装置を開発しました(図2)。
 これにより軌道スラブ1枚を5分程度で検査できるようになりました。

一方、寒冷地におけるスラブ軌道の長寿命化を目指した集中的な補修を行う場合には、補修が必要となるスラブ軌道が敷設されているエリアを選定するために、てん充層の劣化予測を行う必要があります。
 そこで、てん充層の圧縮強度が凍結融解サイクル数の増加によって低下すること、また圧縮強度に対する圧縮応力度の比が大きくなることで繰返し載荷による塑性変形量が増加することを実験により確認しました。
 さらに、非定常熱伝導解析および構造解析の連成解析を行った結果、日中の温度上昇で軌道スラブに上に凸のそり変形が生じた状態で列車荷重を受けると、てん充層外周部の圧縮応力度が大きくなり、塑性変形量も大きくなるメカニズムを明らかにしました(図3)。
 これらの結果を用いて、てん充層の強度低下と軌道スラブ・てん充層間の隙間量を求めることが可能な劣化予測法を開発しました(図4)。

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