6. 落雪対策の検討に用いる車両着落雪推定手法
積雪地域では、走行する車両によって舞い上げられた雪が台車部のフサギ板などに着雪し、これが成長して形成された雪塊が走行中に落下することで地上設備を破損することがあります。
そこで、着落雪対策を効率的かつ効果的に実施することを目的として、列車の運行情報と沿線の気象情報から着雪量と落雪の発生位置をリアルタイムに推定する車両着落雪推定手法を開発しました。
これまで開発してきた手法では長大トンネル以外の落雪は考慮していませんでした。本手法では沿線の気象情報から、既開発の着雪シミュレータにより予め求めておいた着雪の成長速度を用いて、寒冷な明かり区間での台車部フサギ板からの着雪伸長量を計算し、さらにトンネル等の温暖な環境下での落雪による着雪の減少を加味して、リアルタイムに着雪伸長量を推定することが可能です(図1)。
本手法では、駅到着時の着雪伸長量を約 3cm の誤差で推定でき(図2)、トンネル内での落雪が多発する区間を約2km の誤差で推定できることを確認しました(図3)。
駅到着時の推定着雪伸長量は雪落とし作業の要否判断に活用できます。また、落雪多発区間の推定は、落雪に対する設備点検や落雪対策の優先度検討に活用できます。