小金井 玲子

-先輩職員インタビュー-

プロフィール
小金井 玲子
車両振動研究室 室長
2005年入社

実物大の試験車両に仮想車両を連結させ
編成車両の複雑な運動特性を解明

私が在籍する車両振動研究室では、車両に生じる振動や騒音を低減し、より快適な車内環境を実現することを目指して研究を行っています。子供のころから機械いじりが好きで機械系への進学を選択しました。学生時代はロケット打ち上げ時の振動が衛星に及ぼす影響について研究をしていましたが、より身近な鉄道に興味を抱くようになり、鉄道総合技術研究所への入社を志望しました。

現在は、ハイブリッドシミュレーターという手法を活用して、編成時の車両の動きをいかにして再現するか、ということを主に取り組んでいます。鉄道総研に入社して間もない頃、配属先の上司がこのプロジェクトに着手し、配属後、私もこのプロジェクトに参加し、約10年かけて現在の形にたどりつきました。今後は、ハイブリッドシミュレーターを用いて編成車両の運動特性を解明していく他、各種車両部品の性能評価などに展開していきたいと思います。

自ら手がけた研究テーマが実用化に至る
研究開発者として何よりも大きな喜び

走行試験による十分な特性評価は車両技術開発にとって基本ではありますが、専用の試験線をもたない日本では営業線を用いる必要があり、試験実施にはコストや試験条件など強い制約があります。編成車両の動きを模擬する仮想的な走行試験環境を構築し、実験室での走行試験環境が実現できれば、本線走行前の十分な確認・調整が可能になり、車両開発の効率化が図れます。鉄道車両開発の新しいインフラとして社会に受け入れられるものにしていきたいと考えています。

また、これまでメインテーマである編成車両の運動特性模擬以外にも、大小さまざまなテーマに携わってきました。その中には営業線で走行試験を行い、実用化に至ったケースもあります。思うように研究が進まず苦労することもありますが、だからこそ、自分が携わった研究が現場で生かされていると感無量の気持ちになります。

近年は車両振動研究室での研究に加えて、新入職員の採用や職員育成に関する業務も兼務しています。採用に関する一連の業務以外にも、新人研修の企画・運営など、その業務範囲は多岐にわたります。

今後の目標は、生涯、現役で働くことです。子どもの頃から、働く母の姿を見て育ってきた影響が強いと思います。研究開発者として培ってきた知識と研究のノウハウを駆使して、研究成果を上げ、ひとつでも多く実用化につなげていきたいです。

コラム:育児について

二児の子育てに奮闘中です。
鉄道総研の制度や上司・同僚のサポートにいつも支えられています。

入社3年目に結婚し、2009年に第一子を出産しました。その3年後に第二子を産み、現在は子育てをしながら研究開発の仕事に従事しています。子育てしながら働くことへの迷いは一切ありませんでしたが、職場に復帰したばかりの頃は、子供が体調を崩しやすく、保育園から頻繁に連絡を受けました。仕事を切り上げてお迎えに行く必要があるものの、仕事もしたい、その気持ちの整理に戸惑う時期がありました。そんなとき、上司・同僚、家族にはいつも助けられ、今こうして仕事を続けることができています。

鉄道総研にある制度のなかでも、特にフレックス制度とスーパーフレックス制度は非常に重宝しました。コアタイムが決まっているフレックス制度と、コアタイムに縛られないスーパーフレックス制度、これらの制度によって、子供を病院に連れて行ってからの出勤や、子供の保護者会のための早退などにも柔軟に対応することができています。

何よりも、鉄道総研には小さなお子さんを育てている職員が数多く存在します。パパ職員もママ職員も、お子さんのお見送りやお迎えを積極的に行っており、こうした姿を見るたびに「鉄道総合技術研究所には、どの職員にとっても働きやすい環境が整備されている」と実感しています。