13. 工期短縮可能な線路下横断工事の掘進方式

 踏切解消のため、線路下を横断する道路などのトンネル建設が進められています。線路下を横断するトンネルの構築の際には、先行して角形鋼管からなる仮設トンネルを構築します。
 従来は軌道の計測管理、軌道整備や地盤注入などをしながら、角形鋼管を1本ずつ挿入して掘進し閉塞断面を構築しており(図1)、一般的なトンネル建設に比べて工期が長くコストを要していました。

 そこで、仮設トンネルの構築にあたり、軌道の沈下量を従来と同等に抑えることができる段差掘進方式を提案しました(図2)。
 段差掘進方式とは、先行する1本目の角形鋼管の掘進から一定の「離れ」を設け、時間差で2本目の角形鋼管を同時掘進する方法です。
 適切な離れの量は模型実験で明らかにしました(図3)。
 2本同時に掘進することで、1 本ずつ掘進する場合のほぼ2倍の施工速度が得られます。これにより掘進に必要な工期が半減し、掘進時の軌道の計測管理と軌道整備に関わるコストを約50%低減できます。

 また、線路と角形鋼管が近接する場合には、沈下対策のための地盤注入などの対策工の要否の判断が必要になります。
 これを精度よく行うため、軌道の沈下量を精緻に予測できる数値解析手法を開発しました(図4)。