14. 敷設環境に応じたPCまくらぎの維持管理法

 PCまくらぎの維持管理は、外観目視検査により表面状態を確認し、交換の要否を判定しています。
 近年、設計上の耐用年数である50年を超えるPCまくらぎが増えており、これまで以上に工学的な根拠に基づく計画的な維持管理が求められています。
 そこで、PCまくらぎの健全性を定量的に評価する手法を提案するとともに、敷設環境に応じた維持管理法を提案しました。

 健全度判定については、打音により取得可能な PC まくらぎの固有振動数や、凍害および塩害による変状の程度から健全度を評価する手法を提案しました。例えば、JIS E1201 に規定される3号まくらぎの場合で凍害の可能性がある環境では、固有振動数は750〜800Hz、凍害によるスケーリング(剥離、剥落を伴うコンクリート部分の劣化)発生面積は PC まくらぎ上面の40%が健全度判定の閾値の目安となることがわかりました。
 さらに、PCまくらぎの敷設環境の違いを考慮し、一般環境と凍害および塩害の危険度が高い地域に分類した維持管理フローを提案しました(図1)。凍害によるスケーリング(図2)が見られる地域では、スケーリングや固有振動数に基づき健全度を判定します。その他の凍害環境、塩害環境や一般環境については、JIS の曲げ試験の規格値を満足できなくなる累積通過トン数を指標とする交換基準の目安を提案しました(表1)。

 これにより、敷設環境に応じた維持管理が可能となるとともに、PCまくらぎ交換計画の策定に活用することができます。