15. 低コストな既設線省力化軌道および路盤改良工法

 軌道保守コスト削減のため、既設バラスト軌道を低コストで省力化軌道とする施工方法が求められています。これに対する新しい要素技術として、既存のバラストを活用した「SFCてん充道床軌道」および比較的軟弱な地盤上でも敷設できる「あと充填路盤改良工法」を開発しました。

 SFCてん充道床軌道には浸透性の高い超微粒子セメントミルクを用いるため、劣化したバラストに注入することができます。通常は既存のバラストを活用しますが、噴泥が生じている場合は部分的に道床交換してから注入します(図1)。
 本工法により、全線の道床交換が必要な従来のてん充道床軌道と比べて施工費を40%~50%削減できます。特に道床交換工事の施工単価が比較的高価な山岳トンネル区間では道床交換と同等の費用で省力化軌道とすることができます。省力化軌道化により、土砂などの混入により道床噴泥が頻発している区間において保守コストの低減が期待できます。

 あと充填路盤改良工法は、軟弱地盤上に省力化軌道を敷設する際の路盤改良のために、一旦新バラストに置き換えた路盤改良層に後日グラウト材を充填して強固な改良層を形成するもので、省力化軌道と同時に施工可能です(図2)。
 これにより、間合い時間が短い条件下でも軟弱地盤上に省力化軌道を敷設することが可能になります。
 本施工法により、従来の路盤改良工法と比べて施工費を約60%削減できます。
 併せて、路盤の沈下量と省力化軌道てん充層の疲労破壊を考慮した設計手法を提案しました。

 これらの工法は「営業線における軌道・路盤の補修・改良方法の手引き」に反映させる予定です。