6. せん断ひずみを活用した車輪・レール間の接触力と接触位置の測定法
車両の走行安全性評価のための走行試験では、車輪・レール間に作用する左右方向の力(横圧Q)と上下方向の力(輪重P)を、輪重横圧測定輪軸(PQ輪軸)と呼ばれる特殊な輪軸を用いて測定します。 車輪板部に生じる曲げひずみを横圧に換算する現行のPQ輪軸では、輪重の作用位置が横圧の出力に影響を及ぼし、誤差が生じるという課題がありました(図1)。
そこで本研究では、現行方式よりも輪重の影響を受けにくい「せん断ひずみを活用した横圧測定法」を開発し(図2)、走行安全性評価の指標として用いられる脱線係数Q/Pの誤差を、最大18%低減できることを明らかにしました(図3)。 これにより、従来と同等の試験実施コストで、より精度の高い走行安全性評価を実現できます。
また、PQ輪軸のひずみ出力波形から車輪がレールと接触する位置を測定する方法を開発し、フランジ直線部での接触に至らない範囲では、5mm 程度の誤差で接触位置を測定できることを明らかにしました(図4)。 本手法は、車輪・レール接触に関する各種技術開発(例えば新踏面形状の性能評価等)に活用できます。