7. 台車部品の非破壊検査におけるきずの自動抽出手法
鉄道車両の台車部品の検査では、磁粉探傷や超音波探傷等の非破壊検査が行われますが、探傷で得られた画像や波形からきずの有無を判断するには経験を要します。
そこで、機械学習によってきずを自動的に抽出する手法を開発しました。
溶接部表面の磁粉探傷では、きずによる模様以外に溶接表面の凹凸による疑似模様が現れるため、両者を区別する必要があります。
そこで図1のように、機械学習モデルを用いて小さく分割した領域ごとにきずの疑いがある箇所を抽出し、それらが複数つながっていれば「きず」と判定する手法を開発しました。
実際の磁粉探傷画像を用いて本手法の性能を検証したところ、溶接部の表面きずを概ね 70%の正解率で検出できることを確認しました。
一方、溶接内部の検査には超音波探傷を用いますが、図2に示すように、溶接部の表面形状による反射波がきずでの反射波(きずエコー)と紛らわしい場合があり、両者を区別する必要があります。
これに対し、台車枠の超音波探傷を想定したシミュレーションで得られた波形を機械学習させたモデルを開発し、溶接部の内部きずを95%以上の正解率で検出できることを確認しました。
構築した機械学習手法およびモデルを実際の台車部品の検査に適用することで、きずかどうかの判断に迷う場合のある磁粉探傷画像や超音波探傷波形に対して統一的な判定ができ、きず検出業務の脱技能化が図られます。