16. 汎用的なリアルタイム運転支援用運転曲線作成アルゴリズム
鉄道総研では、これまで定時性や省エネ性に優れた運転曲線をリアルタイムに予測し、通過駅までの運転方法を提示する運転支援システムを開発してきましたが、適用範囲が限定されていました。
そこで、列車の運転時間や走行線区等の多様な条件に汎用的に対応するリアルタイム運転支援用運転曲線作成アルゴリズムを開発しました。
本アルゴリズムでは、次の駅までの平均速度である定通速度を目標速度とした、のこぎり運転を基本とし(図1)、速度制限や勾配に応じて目標速度を補正します。
これにより、途中に速度制限がある区間でも定時運転になるとともに、上り勾配での力行が優先された運転しやすい運転曲線を作成できます(図2)。
本アルゴリズムを組み込んだ運転支援システムは、定時運転となる運転方法を迅速に提示できます。
列車の運行状況にも左右されますが、従前の駅通過ごとにノッチオフ速度を探索するアルゴリズムに対して、定時運転の提示率が高くなり、かつ探索時間が短くなることを確認しました(図3)。
また、5線区にて合計30列車を対象に800回を超える検証試験を実施し、省エネ効果の検証を進めるとともに、運転士が概ね良好な意見を持っていることを確認しました(図4)。
これらにより、駅通過が主体となる列車に対して、本システムにより定時運行、省エネ、乗務負担軽減が期待されることを確認しました。