18. 要員効率化と労働負荷低減を可能とする乗務員運用作成業務の省力化
ダイヤ改正時には、列車ダイヤや車両運用計画とともに、乗務員の勤務計画を示す乗務員運用計画を作成する必要があります。
乗務員運用計画は、規程類に基づく多数の制約条件を満たしつつ、要員効率のよい計画とする必要があります。
これに加えて、乗務員の労働負荷を低減することも求められます。
そのため、現状ではベテラン担当者でも計画作成に1線区あたり数日以上を要しています。
これまで、要員効率化に特化した乗務員運用計画の自動作成手法を開発しました。
しかし、要員効率と労働負荷はトレードオフの関係にあるため、既開発の手法では両者をバランスよく考慮することが難しく、高密度線区では計算時間が大幅に増加する課題がありました。
そこで、拘束時間、労働時間、睡眠時間、食事時間等の労働負荷を表す新たな指標として労働負荷指数を定義し、数理最適化技術を活用して要員効率の指標である勤務日数の最小化を図り、得られた勤務日数を上限として労働負荷指数を低減する2段階の解法を開発しました(図1)。
これにより、優先度の高い要員効率を重視しつつ、乗務員の労働負荷を考慮した運用計画を短時間で作成することが可能になりました。
開発した手法では、1日の列車数が500本を超える高密度線区に対しても、市販の汎用PCにより5時間程度で計画を作成でき、担当者が数日かけて作成した実際の運用計画と比べ、勤務日数は同等以下にしつつ、労働負荷指数が既開発の手法より改善できることを確認しました(図2)。
本手法により、乗務員運用計画の作成業務の省力化や脱技能化が可能です。