DLCCを用いた耐震対策優先度判定法

鉄道システムを構成する土木構造物、軌道、電車線柱、車両などに対して、補強の優先順位や工法の選択について、合理的な戦略を立てるための手法を開発しました。

具体的には、各種の地震対策前後のライフサイクルコストの差をDLCCとして定義し、この指標が最大となるように地震対策優先度を判定します。

図1に示すモデル線区に対して、地震活動度の異なる2地点で試計算を実施した結果を示します(図2)。いずれの地点も、第1段階目の対策としては低じん性の橋梁の対策を行うことが最適であるという結果が得られました。
これは緊急対策補強として、現在優先的に実施されている対策に対応します。

一方で,第2段階目は、活動度が高い地域で盛土対策,低い地域で橋梁対策となっており、地域によって優先度の高い対策が異なるという結果が得られました。

このように、本手法を用いることで、対象とする路線の輸送密度・輸送量、地震活動度、地盤条件、鉄道システムの耐用期間、構造形式、など各種の条件を考慮した上で、鉄道システム全体の地震対策優先順位を決定することができます。

参考文献

  1. 坂井公俊、室野剛隆、佐藤勉:ライフサイクルコストを用いた鉄道施設の耐震対策優先度判定法、鉄道総研報告、Vol.25、No.2、pp.5-10、2011
  2. 坂井公俊、室野剛隆、佐藤勉:鉄道施設の地震対策優先度判定を支援する、RRR、Vol.69、No.3、2012