1. 自動修正機能を付加した鉄道地震被害予測シミュレータ

地震発生後の鉄道の早期運転再開のためには、被害の発生状況を迅速かつ適切に把握することが重要です。 これまでは沿線地震計による震度情報を用いた判定や構造物の固有周期と降伏加速度をパラメータとしたノモグラムによる被害推定を行っており、局所的な地盤特性や構造物条件の変化を詳細に考慮した評価は困難でした。

今回開発した自動修正機能付鉄道地震被害予測シミュレータ(図1)は、緊急地震速報と連動して自動的に起動し、その時点で利用可能な情報(震源情報、地震観測記録など)を全て活用した上で、沿線の地震動波形を即時に推定することを可 能としました。 さらに、この地震動波形を用いて全線の土木構造物、電化柱、車両の挙動を詳細な動的解析によって評価することができます。

これにより、各地点の深層地盤から地表までの地盤特性の違い、各施設の振動特性の変化を適切に考慮した上での被害予測等を数分〜数十分以内で実施することが可能となりました。

本シミュレータでは、ボーリング調査結果や設計計算書などの情報の追加、さらには実地震情報の蓄積により、被害予測に用いるパラメータを自動的に更新するアルゴリズムを実装しています。
これにより、各種情報や地震履歴の充実に伴って被害推定手法を自動的に高精度化できます。
今回開発したシミュレータは、被害予測にあたり相反するリアルタイム化と高精度化の両立を実現したものであり、地震後の優先的に点検を行う箇所の特定等により、地震発生に伴う復旧時間を短縮できます。

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