6. 突風等による強風箇所の推定アルゴリズム

ダウンバースト、ガストフロント、竜巻といった突風現象の範囲は数百mから数kmと局所的です。 これに対して、運転規制に使用されている風速計の設置間隔は平均すると20km程度であるため、風速計ではこれらの突風を的確に捉えられない可能性があります。 そこで、気象レーダーで得られる上空の風や雨雲の状態と数値計算の結果とを組み合わせて、突風により地上で強風が発生する可能性がある箇所を推定するアルゴリズムを作成しました。

本アルゴリズムはまず、気象レーダー(XRAIN)から得られる風速情報を用いて隣接する2点間の風速差から、上空での風の発散・収束の値や空気の流れが形成する渦の強さが顕著に表れる領域(上空での突風領域)を検出します(図1)。 次に、検出した上空での突風領域の出現位置、広さ、およびその移動方向と移動速度から、地上で強風が発生する可能性がある箇所を予測します。 ここで用いる上空での突風領域の風速と地上での風速との関係式は、過去に発生した突風事例の数値計算結果より高さごとに求めた単位距離あたりの風速差(図2)をもとに定めました。 図2では暖色系となるほど局所的な風速差が大きいことを示しています。本アルゴリズムでは風が強くなる箇所を5分間隔で10分先までの予測が可能です。

本アルゴリズムは、突風等の局所的かつ短時間の現象による災害防止のための安全かつ迅速な列車運行管理の支援ツールとして活用できます。

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