7. 車軸軸受で発生するフレッチング摩耗の抑制手法
車軸軸受の内輪と後ぶた間(図1 左上の青色と赤色の接触面) で発生するフレッチング摩耗粉は、潤滑剤の劣化を招くことから、鉄道車両の検査周期延伸のボトルネックになります。フレッチング摩耗は、軸受取付け時に生じる後ぶたの変形により、内輪との接触面圧が不均一となる領域で顕著に発生するため、その対策は困難でした。内輪と後ぶたの間にOリングや当板を挿入する従来の対策では摩耗粉の発生そのものを抑制できない上、既存軸受に対して設計変更が必要となり、部品点数の増加にともなう取付けミス発生のリスクがありました。そこで、大きな設計変更を必要とせず、かつ部品点数を増やさない新たな対策手法を開発しました。
摩耗を抑制するため、有限要素法解析を用いて接触面圧が均一に近づく後ぶた形状を検討しました。その結果、現用の後ぶたに円周方向の溝を追加工することで、後ぶたの変形が接触面圧におよぼす影響を低減できる手法を考案しました(図1 下)。この手法を適用した後ぶた(開発品) を用いて接触面圧を実測したところ、圧力分布がならされ、最大接触面圧は現用品よりも約50%低減しました(図1 右)。また、約55万km の現車走行試験において溝加工による寸法変化や溝底部のき裂は認められず、実使用に問題がないと判断しました。さらに、台上回転試験による120万km走行相当の耐久性評価においても、グリース中の鉄分が現用品(48万km走行相当)よりも約65%低減することを確認しました(図2)。
本手法は鉄道車両のさらなる検査周期延伸を可能とし、メンテナンス作業の省人化に寄与することが期待されます。
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