8. テルミット溶接部の折損を防止するための工法および検査・補強方法
レール溶接法の一つであるテルミット溶接法は、在来線で約50年の使用実績があり、実用上十分な強度を備えています。しかし、他のレール溶接法と比べて曲げ疲労強度が相対的に低いこと、また施工時に稀に発生する凝固割れ(溶鋼の凝固段階でレールがわずかに外側に動くことで発生する溶接欠陥)を超音波探傷検査で見落とした場合に、早期折損につながるおそれがあることから、輸送障害の影響が大きい新幹線高速区間での適用が見送られてきました。
そこで、新幹線高速区間にも適用可能な改良テルミット溶接工法を提案しました。具体的には、余盛止端部の応力集中を低減するため、3分割モールドの内部形状を改良し、曲げ疲労強度を20%以上向上させ、新幹線の主な現場溶接法であるエンクローズアーク溶接( 現行溶接法) とほぼ同等にしました(図1)。
また、万が一溶接部に凝固割れが発生した場合でも、施工後の超音波探傷検査で容易に割れを検知できる検査補助治具を開発しました(図2)。本治具は、探触子の首振り走査および適切な保持を支援することで、割れ検知に必要な熟練技能を低減します。さらに、凝固割れが発生したテルミット溶接部でも、レール交換が可能な次の夜間まで、通常速度で列車が走行可能な補強治具を開発しました(図3、表1)。
本工法により、テルミット溶接部の折損を防ぎ、溶接部の信頼性を大きく向上させることで、安定輸送を維持しつつ、高度な技能を要する現行溶接法に比べて、作業員とコストを約3割低減できます。
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