小林 明寛

-先輩職員インタビュー-

プロフィール
小林 明寛
経理部(会計)副主査、事業推進部(事業企画)副主査
2012年入社

税務から経営の視座に触れる施策まで
幅広い会計業務に携われる

大学では法学部に所属し、刑法などの法律を学びました。法律や法令における条文から単純に正解を導き出すことはできず、過去の裁判例やさまざまな論文・書籍などから必要な情報を取得し、最適な答えを考えていくプロセスに魅力を感じていました。そのときの経験は、税務関連の法律に触れる機会の多い現在の会計業務にも活かされています。条文を読むことはもちろん、多種多様な情報を収集してきた経験が、仕事上のアドバンテージになっていると感じています。

鉄道総研を志望したのは、日本の鉄道に関する研究開発という公益性の高い事業に貢献できることに魅力を感じたことがきっかけです。転勤がほぼ無く安定した生活を送ることができ、都内でありながら自然豊かな環境で働けることも好印象でした。ただ、歴史のある組織なので、入社前は組織内の秩序を重視する「堅めの会社なのかな」と勝手に想像していました。しかし、実際に入社してみると個々の自主性を大切にする雰囲気で、やりたいことを実現できる働きやすい環境でした。

現在の業務は、税務(主に消費税)、出納、資金運用など多岐にわたります。小規模な組織であるからこそ、現場に近い業務から、経営の視座に触れられる業務まで幅広い内容に取り組める点が面白いと感じています。入社して間もないうちは、個々の職員からの問い合わせ対応など、研究現場に近い業務を主に担当しました。そこから実績や経験を積むことで、現在は全社的な施策の検討など、経営に関わる業務にも携わるようになっています。現場の視点と経営的な視座とのバランスをとることは難しく悩むことも多いですが、非常にやりがいのある仕事だと感じています。

インボイス対応とMBA取得が大きな自信に
会計以外にも仕事の幅を広げていきたい

鉄道総研における経理部の業務は、研究部に比べると外部組織との関わりが少ないので、意識的に世の中の動向をチェックし、新たな知識を得るように心がけています。具体的には、鉄道総研と業態の近い研究開発組織の担当者と定期的に交流したり、外部セミナー等に積極的に参加したりしています。また、2021年度からは大学院の夜間社会人コースに通い、MBAを取得しました。ファイナンスや人材育成、さらには経営戦略まで学ぶことができたのは、上司や同僚の理解があったおかげです。

会計業務に関する直近の取り組みでいうと、事業者における消費税法上の大変革であるインボイス制度への対応が挙げられます。社内の大規模なシステム改修や取引先との調整など、多くの課題が発生することが見込まれていました。そこで、2022年に経理部内の各課を横断した対応プロジェクトを立ち上げ、約1年半かけて個々の課題をマネジメントしながら新制度への対応を行いました。プロジェクトの立ち上げから法改正施行まで1年半もの時間をかけて取り組んだことは、入社後のキャリアのなかで大きな経験と自信につながっています。関係箇所が快く協力してくれたことも非常に助かりました。

これまでの経験や大学院での学びを経て、最近では職員のエンゲージメントをより向上させる施策について興味関心が高まっています。今後は会計業務以外にも仕事の幅を広げながら、鉄道総研全体のモチベーションアップと業務効率化に取り組んでいきたいです。

コラム:事務系総合職の役割や魅力について

●バックオフィスは利益を生み出すこともできる●

会計業務を含むバックオフィスは 世間的に“コストセンター”と言われることがあるなど、利益を生み出さないイメージが先行していますが、決してそんなことばかりではありません。例えば税務の仕事は、会社全体の資金を増やすこともできる面白い仕事だと思っています。一例をあげると、税制についての知識を活用して税制優遇や税控除を適用すれば、会社の支出を大きく減らし、税制優遇されない場合との比較で資金を増やすことができます。一方で、毎月の会計業務や年次決算は、事業の成果や資金の動きをわかりやすく伝えるためにとても重要です。その他にも、会計業務には面白い仕事がたくさんあるので、興味を持ってもらえると嬉しいです。

鉄道総研における事務系総合職は、現場の臨場感を味わいながら働くことができるのはもちろん、経営的な視座でも業務に取り組めます。このような環境は他社ではなかなかないと思います。自身の専門知識や経験を武器に、鉄道総研全体や、個々の研究者にどのような価値を提供していくのか、バランスをとるのが非常に難しいですが、日々やりがいを感じています。

また、事務系総合職の仕事は一般的にサポート的なイメージが強いと思いますが、専門性や今までの経験をもとに自分の価値を提供し、より良い成果を目指すという意味では、研究者と変わりません。その先にあるのは、革新的な技術を創出し、鉄道の発展と豊かな社会の実現に貢献することです。全国紙などに鉄道総研の研究開発に関する記事が掲載されたときには、研究部やバックオフィスの垣根を越え、研究所全体で一体感と喜びを感じられます。