12. 既設鋼鉄道橋の復旧性を高めた低コストな桁移動制限装置

 過去の大規模地震では、鋼橋の既設支承が破壊し、桁が橋軸直角方向へ大きく移動する事例が多数発生したため、対策としてサイドブロック等による桁の移動制限装置と桁座拡幅等の落橋防止装置が設置されています(図1)。
 しかしこの方法では、落橋は防止できるものの、大規模地震時には桁移動制限装置が破壊して移動量が大きくなり、桁が支承から逸脱して地震後の復旧性が低下するという課題があります。

 これに対し、従来の桁移動制限装置に付加した高力ボルト摩擦接合継手によって地震動のエネルギーを吸収し、桁の移動を抑制して支承からの逸脱による段差の発生を防止可能な装置を開発しました(表1)。
 本装置の継手は、図2のようにボルト孔をスリット形状とすることで従来よりも大きなすべりを許容し、吸収エネルギーの増加を図っています。

 本装置は、従来の桁移動制限装置と同等のコストでありながら大規模地震時の桁移動量を約1/3に抑制でき、落橋防止装置の省略も可能となります(図3)。
 また、設計手法も整備しており、様々な諸元の橋りょうへ適用できます。

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