15. 在来線電車歯車装置用つば付き円筒ころ軸受構造とその性能評価

 在来線電車の歯車装置用小歯車軸受として多く使用されている円すいころ軸受は、損傷防止のために、エンドプレイ値(軸受の軸方向の組み合わせすきま;以下、EP値)の厳密な調整が欠かせないため、保守業務の負担となっています。
 そこで、保守省力化と信頼性向上の両立を図るため、小歯車軸受につば付き円筒ころ軸受を採用し、EP値の調整幅を拡大できる小歯車支持構造(図1;考案構造)を考案しました。

 考案構造は従来構造と異なり、EP値が変化しても軸受のラジアルすきま(軸と垂直方向のすきま)が変化しないため、EP値の上限値を従来構造の0.16mmから0.30mm(下限値:0.10mm)に拡大できます。
 これによりEP値の許容値の幅が拡がり、歯車装置の解体を伴う調整作業を削減できます。考案構造は、歯車装置の新造や大幅な改造を行うことなく、従来構造の小歯車軸と軸受ふたを交換するだけで置き換えることができます。

 また、考案構造について、軸受単体での実働荷重負荷条件下での回転試験を行い、軸受の発熱や潤滑状態の指標である温度と振動加速度が従来構造と同等以下となることを確認しました(図2)。

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