13. 施工の省力化を考慮した高架橋接合部の配筋方法

 鉄筋コンクリートラーメン高架橋の柱はり接合部は、柱とはりの鉄筋に加えて、接合部内に帯鉄筋やハンチ鉄筋を配置することが鉄道構造物等設計標準の構造細目で定められており、建設の際には鉄筋組立等に多大な労力を要し、コンクリート打込み時の品質確保の難度が高い箇所となっていました。
 熟練技術者の減少に伴い改善が求められていましたが、鉄筋の配置が複雑であるため、従来の解析法では改善方法の検討が困難でした。

 そこで、鉄筋の形状やコンクリートの付着を精緻にモデル化した非線形FEMを構築し、接合部内に配置された鉄筋の構造細目を検討可能な解析法を提案しました。
 本手法を用いることで、接合部内の鉄筋の曲げ形状等の構造細目に応じた応力状態が表現可能であり(図1(a))、接合部の耐力を算定できることを模型実験により確認しています(図1(b)、図2)。
 加えて、一般的な高架橋接合部の帯鉄筋やハンチ鉄筋の間隔をそれぞれ従来の2倍程度に拡大しても、必要な耐力が確保できることを明らかにしました。

 これらの検討結果は配筋の手引きに反映され、接合部の鉄筋量の削減だけでなく、施工の省力化と品質確保を図ることができます(図3)。
 なお、提案した非線形FEMは、既設高架橋の接合部の性能評価等、鉄筋の構造細目に関する諸問題の解決に幅広く活用することができます。

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