宮内 瞳畄

-先輩職員インタビュー-

プロフィール
宮内 瞳畄
研究開発推進部 担当部長、研究開発推進部(国際) 課長
1992年入社

海外との交流によるネットワーク構築に力を注ぐ

国際課は、海外の研究機関や鉄道事業者と緊密なネットワークを構築することに力を注いでいます。具体的には、フランス国鉄(SNCF)、中国鉄道科学研究院(CARS)・韓国鉄道技術研究院(KRRI)との共同研究、インド、台湾、タイとの技術協力、その他アジア各国との情報交換会、国際会議World Congress on Railway Research(WCRR)の運営など、国際交流を定期的に行って日本の鉄道技術を知っていただくとともに、海外での展示会などにも参画するといった活動をしています。また、海外の鉄道事業者や研究機関などとの緊密な関係の構築による情報の発信(Quarterly ReportやAscent)などに取り組んでいます。

国際活動の基盤となるのは、互いの信頼関係。私たちの技術を相手に伝えると共に、それぞれの国の事情や課題などもしっかりと把握する必要があり、こうした相互理解を作りあげる仕事にやりがいを感じています。

目指しているのは、信頼関係を構築した上で、鉄道総研の多様な技術成果を海外でも活かしていただくこと。海外での鉄道事故のニュースなどを耳にすることもあると思いますが、鉄道総研が積み重ねてきた技術成果の中には、そうした事故の防止につながるものが多くあります。技術成果の展開を通じて国際貢献にも一役買いたいと思っています。

海外を含め異なる領域の人々との 交流がますますさかんに

私は、金属工学を専攻し、摩擦材料研究室でブレーキ材料の研究などを行い、研究室長も務めました。海外とのつながりは、入社後、英国の大学に留学し、修士を取得したのが始まりです。その後、フランスに本部を置く世界各国の鉄道事業者によって組織される国際鉄道連合(UIC)に約3年間出向し、国際会議の運営などに携わると同時に、鉄道総研の国際活動を見据えて情報収集などを行いました。

それぞれに異なる価値観、文化を持った海外の方々と交流することは、多くの気づきを与えてくれ、知見も広がります。その意味で仕事を通じて出会った国内外の人とのつながりが最大の財産です。鉄道総研は、研究職にとっては、自らの考え、自らのやり方で研究を進めていける恵まれた環境の職場です。同時に、自分の研究、自分の領域に閉じこもってしまっては、研究者としての成長が鈍化すると思います。その意味で、鉄道総研は、他の研究をしている人々とも容易に交流が持てる環境です。テニスやサッカーなど「班活動」と呼ばれるクラブ活動もさかんで、研究領域や年次などの隔てなく交流ができます。これから入社される人には、オープンな姿勢を持っていただきたいです。また、特に今後は、海外に目を向けることがますます求められるでしょう。国際会議などの参加の機会も多くありますので、ぜひ、好奇心とグローバルな視点を持って活躍していただきたいと思います。

コラム:国際活動について

私自身、海外の機関への出向や現在の国際課での業務を通じて実感することは、「鉄道網」「鉄道技術」というものに関する価値観が国や地域によって多様なことです。例えば、ヨーロッパでは、機関車が両先頭にある動力集中方式に対し、日本では両先頭車以外の車両にもモーターがある動力分散方式です。また、国境をまたいで鉄道網が広がるEU圏内では、統一の「規格」作りが非常に重視されています。もちろん、鉄道総研が研究を積み重ねてきた日本の鉄道技術には、大きな誇りを持っています。しかし、同時に、「この技術は優れているから使ってください」とアピールするだけでは海外に展開することは困難です。信頼関係を構築し、それぞれの国の状況や課題を的確に把握し、カスタマイズして提案することが求められていると考えています。