研究部紹介

車両技術研究部

車両技術研究部には「車両運動」「車両振動」「車両強度」「水素・エネルギー」「駆動システム」「ブレーキシステム」の6研究室があります。車両の安全性・信頼性・快適性、脱炭素化・省エネルギー化、保守の省力化に向けた研究開発に取り組んでいます。

車両運動研究室

鉄道車両の走行安全性評価/振子、操舵などの台車関連技術の開発/車両の動特性に関する試験の実施と評価およびシミュレーション

車両振動研究室

車両の制振制御技術/車体弾性振動の評価、解析、低減技術/車内騒音の評価、解析、低減技術

車両強度研究室

車輪、車軸、台車枠、車体等の疲労強度評価/超音波探傷等の非破壊検査法に関する研究/車両衝突時の衝撃特性に関する研究

水素・エネルギー研究室

燃料電池車両をはじめとする水素利用技術/新エネルギー/車両のエネルギー消費評価

駆動システム研究室

駆動システムの性能評価/性能向上方法や次世代駆動システムの提案/状態監視技術の開発

ブレーキシステム研究室

鉄道車両のブレーキシステム全般にわたる技術開発や評価

構造物技術研究部

構造物技術研究部では、自然災害を含む安全性の向上、及びデジタル技術による鉄道システムの革新に寄与する先端的な研究開発を推し進め、鉄道構造物である橋りょう・高架橋、土構造物、トンネルや駅施設の「災害対策・早期復旧技術(異常時対応策)」、「維持管理技術・建設改良技術(平常時対応)」の確立・導入を目指しています。
数値解析的アプローチに加えて、解析と連成可能な静的・動的載荷試験装置や、我が国最大級の加振力を有する大型振動台、降雨機能を備えた中型振動台、トンネル覆工載荷試験装置、中規模駅舎を模した駅シミュレータなど、特徴ある試験装置を用いた実験的研究も数多く実施しています。
また、鉄道構造物等設計標準などの技術基準の作成・改訂業務や、地震・降雨などによる鉄道事業者で発生する災害時の原因究明や復旧支援を行っています。

コンクリート構造研究室

橋りょう・高架橋の内、RC構造やPC構造などの鉄道コンクリート構造物の設計、施工、維持管理に関する研究開発、技術基準の整備

鋼・複合構造研究室

鉄道の橋りょうの内、鋼構造および鋼とコンクリートの複合構造の設計、施工、維持管理に関する研究開発、技術基準の整備

基礎・土構造研究室

鉄道に関わる地盤もしくは地盤と接する盛土、擁壁、橋台、基礎構造物の調査・設計・施工のほか、既設構造物の維持管理に関する研究開発、技術基準の整備

トンネル研究室

山岳・都市トンネルなどの鉄道トンネルや線路下横断構造物の設計、施工、維持管理に関する研究開発、技術基準の整備

建築研究室

駅を主とする鉄道建築の構造・計画分野において、鉄道旅客にかかわる安全性、快適性に関する研究開発

電力技術研究部

鉄道部門における電力技術は、電気車に高品質な電力を提供するための技術であり、変電所における電力変換、き電回路、電車線構造、電車線材料およびこれらの計測・保全に関する研究開発が、その主なものです。 電力技術研究部では、これらの研究開発に対処するために、き電・集電管理・電車線構造の3グループでの研究開発体制のもと、21世紀に対応した新しい鉄道電力システムについて、鋭意研究開発を進めています。

き電研究室

交流き電システム、直流き電システムに関する研究開発を行なっています。

集電管理研究室

架線−パンタグラフで構成する集電系の、保全管理および電車線材料に関する研究開発を行なっています。

電車線構造研究室

電車線構造の研究開発と、集電現象を解明するために必要な計測技術の研究開発を行なっています。

軌道技術研究部

軌道技術研究部は「軌道構造」「軌道・路盤」「軌道管理」「レールメンテナンス」の4研究室で構成され、鉄道事業者のニーズに応えるために、軌道の安全性向上、高速化、メンテナンスの効率化および低コスト化、騒音・振動などの研究開発を実施しています。さらに、鉄道技術のグローバル化に対応するため、軌道に関する技術基準や国際規格に関する業務も行っています。

軌道構造研究室

レール締結装置や脱線防止ガードなどの軌道材料、分岐器、さらに伸縮継目やロングレール等の設計法やメンテナンス技術に関する研究開発

軌道・路盤研究室

スラブ軌道等の直結系軌道、既設線省力化軌道、バラスト軌道及び路盤・路床の設計・補修方法や建設・産業副産物の再利用等の研究開発

軌道管理研究室

軌道保守を支援する各種システムツールや軌道検測装置、検査データの有効な活用法など、列車の安全・安定運行に資する軌道管理技術に関する研究開発

レールメンテナンス研究室

レールの溶接やレール傷の補修法、さらにレールの探傷技術等のレールの維持管理全般に関する研究開発

防災技術研究部

防災技術研究部には「気象防災」「地盤防災」「地質」の3研究室があります。降雨・風・氷雪・風化などを原因とする、鉄道沿線の自然災害を防止するための研究開発を行っています。このほかに、地形・地質・地下水に関係する調査・評価技術や、列車走行に伴う地盤振動などの地盤環境問題に関する研究を行っています。

気象防災研究室

強風や雪氷をはじめとする種々の気象現象が、鉄道運行に支障をもたらすメカニズムの解明と被害を防止・軽減するための研究開発

地盤防災研究室

斜面災害や橋脚洗掘災害など主に降雨、地震または河川増水が原因になって発生する地盤災害を防止・軽減するための研究開発

地質研究室

土木工事に関わる地下水問題、トンネルの建設・保守技術、岩盤斜面安定、土壌汚染、道床バラストの石質、等に関する研究開発 列車走行に伴う沿線地盤振動の予測・対策に係わる研究開発

信号技術研究部

信号技術研究部は「信号システム」「列車制御システム」「運転システム」の3研究室で構成されます。信号保安システム、無線式列車制御システム、自動運転などに関する研究開発、それらのシステム構築支援や安全性評価、そして輸送計画、運転整理などに関する研究開発や技術支援を通じて、鉄道の安全性、信頼性、利便性、そして省エネルギー化の向上に寄与することを目指して活動しています。

信号システム研究室

軌道回路、ATS/ATC、転てつ機等といった信号保安設備の研究開発、信号保安設備の安全性評価や故障の原因解明、新型車両の信号保安設備に対する誘導障害の評価等を担当しています。

列車制御システム研究室

新しい技術を活用した列車制御システムや信号保安設備の設計支援技術に関する研究開発、信号保安設備の安全性評価等を担当しています。

運転システム研究室

鉄道の輸送関係業務に対する各種システム・アルゴリズムに関する研究開発、および、輸送の乱れ・混雑・旅客流動などに関する調査分析手法に関する研究開発を担当しています。

情報通信技術研究部

情報通信技術研究部は「情報解析」「画像解析」「通信ネットワーク」の3研究室で構成されます。鉄道システムの各分野のデータ解析、カメラやLiDARなどのセンサとAI技術の活用、5G・Beyond 5Gなどの最新の通信技術などを用いて、デジタル技術による鉄道システムの革新を目指して分野横断の研究開発をしています。

情報解析研究室

・データ解析(分野共通の解析技術、鉄道各分野のデータ解析) ・営業、輸送サービス評価 ・意思決定

画像解析研究室

・画像解析(分野共通の解析技術) ・カメラ、LiDARなど各種センサを用いたシステム ・AI

通信ネットワーク研究室

・情報ネットワーク技術 ・無線のコア技術

材料技術研究部

鉄道は、多種多様な材料で構成された車両が、これまた多種多様な材料で構成された地上設備の上を走る緻密なシステムであり、安全・安定かつ快適な輸送を行うためには、各材料がそれぞれの役割をしっかりと果たすことが求められます。 材料技術研究部には、「コンクリート材料」「防振材料」「潤滑材料」「摩擦材料」の4つの研究室があり、車両、土木・建築、軌道、電力・信号通信等で使われる様々な材料の研究開発に取り組んでいます。

コンクリート材料研究室

高架橋・橋りょう、トンネル覆工、軌道スラブ、電柱など、鉄道分野におけるコンクリート構造物の劣化現象の分析・診断・評価技術および補修技術の研究開発を行っています。

防振材料研究室

車両関連の軸ばねゴムなどの防振材料、床材などの高分子材料、構造物関連の制振・防音材料や保護材料、軌道関連の軌道パッドなどの高分子材料に関する研究開発を行っています。

潤滑材料研究室

鉄道車両、各種機械設備等、鉄道全般で使用する潤滑油・グリースおよび鉄道車両用の軸受に関する研究開発を行っています。

摩擦材料研究室

車輪/レール、パンタグラフすり板、ブレーキ摩擦材など鉄道固有の摩擦境界領域に関係する材料に関する研究開発を行っています。

鉄道力学研究部

鉄道力学研究部は、構造物から軌道、車両、電車線におけるダイナミクスの問題を扱っています。ここでは構造物・軌道と車両、レールと車輪、パンタグラフと架線などの境界領域の問題、相互作用に関する問題が主体となります。安全性の向上、機能の向上、保守費の低減などを実現する新しい考え方を提案するためには、これらの境界領域での現象解明など基礎的な取り組みが必要です。鉄道力学研究部では構造物、軌道、車両、集電の研究室が密接に連携をとりながら、またそれぞれの関係分野の技術研究部とも連携をとりながら基礎研究を一つの柱として取り組んでいます。また同時に、基礎研究の成果を発展させ、設計・保守標準への反映、新しい台車構造や軌道構造システムの提案など、応用、開発研究も推進しています。

車両力学研究室

列車の走行安全や乗り心地の向上を目指し、鉄道車両の運動に関する現象解明を行っています。通常走行時の走行安全性評価に加え、強風時・地震時の車両挙動評価、車輪/レールの接触状態などの他分野との境界問題や、脱線しにくい台車、地震対策用台車部品など、新しい構造・要素による運動性能の改善にも取り組んでいます。

集電力学研究室

集電性能の向上とパンタグラフの空力騒音低減を目指し,架線とパンタグラフの運動およびパンタグラフの空力騒音について研究しています。また架線・パンタグラフの動的挙動を評価するための測定器の開発も行なっています。

軌道力学研究室

軌道のダイナミクスとトライボロジーに関わる各種メカニズムの解明や諸問題の解決を目指して、軌道部材の動的応答やバラストの沈下・流動に関する研究、シミュレーション技術の開発、レールの転がり接触疲労損傷および摩耗の発生機構、車輪とレール間の粘着に関する研究を行っています。

構造力学研究室

走行安全向上・災害低減,環境調和,トータルコスト低減を可能とする線路構造システム(軌道や高架橋・橋梁など)の追求を主な研究目的として,これらに必要なシミュレーション解析や現地測定などの評価技術の構築,および新構造の開発に取り組んでいます。

計算力学研究室

鉄道システムの動的最適化に向けた現象解明を更に進めることを目的として,HPC (高性能計算)を活用した新しい解析技術の導入に取り組んでいます。特に鉄道 固有の現象解明を目指し,車輪とレールの転がり接触に伴う高周波域の力学的挙動の解析や、大規模並列計算による車両の空力特性の精緻な解析などを進めています。

環境工学研究部

環境工学研究部は、車両空力特性、熱・空気流動、騒音解析の3つの研究室から構成されています。 「車両空力特性研究室」では、横風に対する車両の空気力学的特性、車両の空気抵抗、トンネル走行時の車両に働く非定常空気力、列車通過時の圧力変動の研究、「熱・空気流動研究室」では、トンネル微気圧波などトンネル坑口から放射される圧力波、地下鉄道の空気流動と熱・換気の研究、「騒音解析研究室」では、鉄道騒音の音源解析と対策法、転動音・構造物音、空力音、音響計測法の研究を実施しています。 環境は21世紀の人類にとって重要な課題であり、社会から環境にやさしい鉄道の実現を強く求められています。300km/hの新幹線の営業運転を行い、500km/hの浮上式鉄道を開発している日本の環境に対する研究と対策は、世界から注視されています。 環境工学研究部は、鉄道事業者と密接な関係を保ちながら、世界に類を見ない大型低騒音風洞などの試験設備、これまで培ってきた研究手法を活用し、世界の鉄道の環境対策をリードする研究・開発を目指していきたいと考えています。

車両空力特性研究室

横風に対する車両の空力特性、列車の空気抵抗、車両動揺に関わる非定常空力特性など、安全、環境、快適に関わる鉄道車両の空気力学的特性に関する研究を実施しています。

熱・空気流動研究室

トンネル微気圧波、トンネル内圧力変動、トンネル内の熱・火災など、安全、環境、快適に関わるトンネル走行時の空気力学的諸問題に関する研究を実施しています。

騒音解析研究室

在来線から新幹線、浮上式鉄道までを対象とし、空力音、車輪・レール・構造物から生じる固体音、防音壁等伝搬系対策などの、鉄道騒音の音源解析と低減対策に関する研究を実施しています。

人間科学研究部

人間科学研究部は「安全心理」、「人間工学」、「快適性工学」の3研究室からなり、鉄道の安全性・快適性の向上に貢献するヒューマンファクター関連の研究開発全般を担当しています。また、人間科学の知見を活用して運転適性検査の技術指導や安全活動の支援を行っています。

安全心理研究室

従業員のヒューマンエラーに起因する事故防止対策としての運転適性検査や安全教育手法、利用者の安全などの研究

人間工学研究室

旅客に対する車両の安全性、設備のユーザビリティ向上や、従業員に対する作業環境の向上、教育・訓練システムなどの研究

快適性工学研究室

駅や車内における利用者の快適性向上のため、列車内の空調環境や振動・乗り心地の評価、バリアフリー対策、感染防止を含む衛生環境改善、磁界環境評価などに取り組むとともに、鹿衝撃事故や植物等への対策等に関する研究開発に取り組む

浮上式鉄道技術研究部

浮上式鉄道技術研究部は、磁気浮上、電磁気、超電導・低温の3研究室からなり、超電導磁気浮上式鉄道に関する基礎技術開発や超電導の研究開発に取り組んでいます。
超電導磁気浮上式鉄道の技術開発は、1996年まで宮崎実験線の約7kmで実験車両による基本走行実験を実施しました。1997年からJR東海と共同で山梨実験線(18.4km)にて走行試験を開始しました。現在も国土交通大臣の承認を受けた技術開発基本計画が進行しており、2013年8月からは延伸した42.8km間で試験走行を継続しています。さらに、超電導磁気浮上式鉄道用地上コイルや車両運動などの研究を実施しています。
超電導技術では、超電導の材料研究を進め、高温超電導材料の作製、評価を実施しています。また、脱炭素化を目指した超電導き電や電力貯蔵などの冷却系を含めた機器開発に取り組んでいます。その他、リニアレールブレーキや非接触給電技術など、在来鉄道への応用も進めています。

磁気浮上研究室

超電導磁気浮上式鉄道の地上コイルや車両運動、在来方式鉄道向けの非接触給電や低消費電力無線に関する研究開発

電磁気研究室

超電導磁気浮上式鉄道および在来方式鉄道における電磁現象や電磁界評価に関する基礎研究、超電導・リニアモータ関連技術の鉄道応用に関する研究

超電導・低温研究室

超電導技術の鉄道への応用のための超電導応用機器、冷却システムに関する研究開発、および高温超電導の超電導特性の向上を目指した材料作製と物性評価の基礎的研究

鉄道地震工学研究センター

巨大地震では震災リスクが、広範化かつ複雑化する傾向があります。このような課題に対処し、より安全・安心な鉄道を実現するために、耐震設計・耐震診断、地震対策、早期警報に関する研究リソースを『集約』するとともに、わが国唯一の鉄道地震工学の『拠点』を目指します。 鉄道地震工学研究センターは3つの研究室から構成されています。

地震解析研究室

早期地震検知、地震防災システム、地震被害推定に関すること

地震動力学研究室

地震動、地盤挙動などに関すること、液状化対策工法の開発に関すること

地震応答制御研究室

構造物・車両・電車線路設備等の地震応答、免震・制震に関すること

その他の関連コンテンツ