車軸の強度評価について
車軸は、車両の走行中に折損するようなことがあれば、大きな事故にも繋がりかねないため、極めて重要な部品です。そのため、様々な規定に基づく設計・製造、また使用中の定期的な検査によって、安全性は確保されています。車両強度研究室では、疲労強度、き裂進展の観点から、安全性の定量的な評価に取り組んでいます。
車輪と車軸は図1のように組み立てて使用されています。そのため、車輪とのはめ合い部には、車軸のたわみによる相対的な繰返し微小すべり(フレッティング)が生じます。フレッティングを抑制する取組みとして、車輪座とフィレット部の接線角度θや直径比D/d(図1)を大きくすることで、はめ合い端部の応力が低下することを応力解析により明らかにしました。一方、θやD/dを大きくするとフィレット部の応力が増加します。そこで、現車において変更可能な接線角度とフィレット部直径について疲労強度が最も高くなる形状(図1赤線)を提案し、実物大疲労試験によりその効果を確認しました。従来形状の試験体には破断相当のき裂が生じましたが、提案した車軸形状のものには強度上問題ない微細き裂が生じたのみでした(図2)。
次に、「車軸に仮にき裂が発生した場合に、どのようにき裂が進展するか」という観点から、実物大の車軸を用いた試験結果より評価を行いました。試験結果の一例を図3に示します。あらかじめ設けた人工きずより疲労き裂を発生させ、き裂の進展性を評価しました。このような試験結果と、別に実施したFEM(有限要素法)解析結果を組み合わせることで、車軸のき裂進展性を定量的に把握することが可能となりました(図4)。これにより、車軸の安全性評価だけでなく、検査周期・検査基準などを評価することも可能となります。
参考文献
- 佐藤康夫, 高垣昌和, 山本勝太, 牧野一成, 坂本博, 石塚弘道:車輪座はめ合い端部形状変更による車軸の疲労強度向上, 鉄道総研報告, Vol. 26, No. 10, pp.29–34, 2012.
- 山本勝太,牧野一成,石塚弘道:一定荷重下における実物大車軸の破壊力学的評価, 鉄道総研報告, Vol. 32, No. 8, pp.29–34, 2018.
- M. Yamamoto, K. Makino, H. Ishiduka, "Experimental validation of railway axle fatigue crack growth using operational loading," Eng. Fract. Mech., 213, pp.142–152, 2019.(※)
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