ガイド波によるレール頭部横裂の検知手法
1.はじめに
レール頭部に発生するきずの一種である頭部横裂は、レール折損に至る危険性が高いためその管理が重要です。しかしながら、頭部横裂は水平裂の下に発生することが多く、探傷車による斜角探傷では検知困難となる場合があります。そのため、多くの鉄道事業者では探傷車のほか手探傷により検査を行っています。本研究では、レール長手方向に伝播する超音波の一種であるガイド波を用いて、水平裂下の頭部横裂検知が可能な検査装置の開発に取り組みました。
2.ガイド波による横裂検知の概要
図1にガイド波による検査のイメージを示します。レール頭頂面にガイド波を送信するプローブと受信するプローブを一定の間隔をあけて配置します。ガイド波はレール内部を透過して、受信プローブへと伝播します。頭部横裂が存在する場合、ガイド波が横裂に遮られて受信波の強度が低下するため横裂検知が可能です。従来の斜角探傷では水平裂によって超音波が遮られてしまいましたが、ガイド波は水平裂の下を透過する性質を有するため、横裂検知精度の向上が見込めます。 図2に試作した検査装置を示します。可搬性に優れた手押し式としており、プローブを配置した測定部とガイド波の制御および記録を行う制御部からなります。また、軌道自転車等により牽引しながらの検査にも対応しています。
3.営業線に発生した頭部横裂の検知試験
図3は手探傷により深さ20 mmの頭部横裂と判定されたきずの外観です。この頭部横裂を含む前後50mの区間で検査を行いました。図4に測定位置と受信したガイド波の信号強度の関係を示します。きずの無い健全部では安定して0.8程度の信号強度が測定され、きずの位置に差し掛かると信号強度が0.3程度まで急激に低下しました。再び健全部に差し掛かると信号強度は0.8程度まで回復し、頭部横裂の検知が可能であることを確認しました。 このほか、1m以上にわたって連続的に発生した水平裂下の横裂検知に適したレール頭側面へのプローブ配置も開発しております。一方、頭部横裂の深さ判定や、高速で走行するレール探傷車への搭載には対応しておらず、今後の検討課題となっています。
