機械学習による台車部品のきず評価

鉄道車両の台車部品(台車枠、車軸など)の検査では、磁粉探傷や超音波探傷などの非破壊検査が行われますが、探傷で得られた画像や波形からきずの有無を判断するには経験を要します。そこで、車両検修業務における将来の省人化や脱技能化を視野に入れながら、機械学習によってきずを自動的に検出する手法について研究しています。

台車枠の溶接部表面の磁粉探傷では、きずによる模様以外に溶接表面の凹凸による疑似模様が現れるため、両者を区別する必要があります。そこで図1のように、カメラで撮影した磁粉探傷画像に対して、機械学習モデルを用いて小さく分割した領域ごとにきずの疑いがある箇所を抽出し、それらが複数つながっていれば「きず」と判定する手法を考案しました。実際の磁粉探傷画像を用いて本手法の性能を検証したところ、溶接部の表面きずを概ね80%の正解率で検出できることを確認しました(図2)。

一方、台車枠の溶接内部の検査には超音波探傷を用いますが、図3に示すように、溶接部の余盛などの表面形状による反射波がきずでの反射波(きずエコー)と紛らわしい場合があり、両者を区別する必要があります。そこで、台車枠の超音波探傷を想定したシミュレーションで得られた波形を、時刻歴の数値データ、あるいは探傷器の画面に相当する画像データとして機械学習させたモデルを開発しました(図4)。本モデルを用いることで、溶接部の内部きずを95%以上の正解率で検出できることを確認しました。

現在、車軸の磁粉探傷や超音波探傷で得られた画像や波形のデータに対しても、台車枠と同様の取組みを進めています。構築した機械学習手法およびモデルを実際の台車部品の検査に適用することで、きずかどうかの判断に迷う場合のある磁粉探傷画像や超音波探傷波形に対して統一的な判定ができ、将来的には、車両検修業務におけるきず検出の省力化や脱技能化が図られます。

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  1. 台車部品の非破壊検査におけるきずの自動抽出手法,主要な研究開発成果(2023年度)
  2. 小笠原柚,牧野一成,重盛壮平,溶接欠陥の磁粉探傷試験への機械学習の適用に向けた基礎検討,日本非破壊検査協会2023年度秋季講演大会講演概要集,pp. 185–186,2023
  3. 牧野一成,画像化された超音波探傷波形の機械学習に関する検討,日本非破壊検査協会第32回 超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集,pp. 13–18,2025