道床バラストの破砕・細粒化を抑制するハンドタイタンパ

 バラスト軌道は,長期にわたって列車の走行やつき固め作業(図1)が繰り返されることで,砕石(バラスト)が経年劣化により破砕・細粒化して劣化します。劣化の進行により,軌道の沈下が増大するとともに,つき固め作業の頻度が高くなり,保守コストが増大します。特に,まくらぎ下のバラストの細粒分が泥土となって,列車通過時に吹き出す噴泥現象が生じると,軌道の沈下が加速するため,そのような箇所では新品のバラストに交換する必要があります。一方,バラスト交換工事の施工コストは比較的高いため,バラストの劣化を抑制するタイタンパが求められていました。そこで,ハンドタイタンパの加振力を従来よりも低下させて、劣化を抑制するハンドタイタンパを開発しました(図2)。

バラストの劣化を抑制するハンドタイタンパの特徴

円筒型のハンドタイタンパの加振機構に内蔵された偏心重錘の質量を半減させることで、加振力が半分となり、バラストの劣化を抑制できます(図3)。加振機構は取り外しが可能であり、従来品の加振機構を入れ替えるだけで、つき固め作業に適用できます。加振力を半減させても、つき固め作業後のバラストの列車荷重に対する沈下量は、従来のハンドタイタンパと比べて、同等以上の沈下抑制効果が得られることを確認しました(図4および図5)。新品バラストに対してだけではなく、劣化したバラストに対しても、従来のハンドタイタンパと同様の取扱い方法で、問題なく施工できることを確認しました(図5)。

参考文献

  1. 中村貴久,桃谷尚嗣,木次谷一平:バラストの破砕・細粒化メカニズムの解明と余寿命予測方法の提案,鉄道総研報告,Vol.35,No.4,pp.35-40,2021