軌道変位の新たな複合管理指標
1.従来の複合変位管理の概要
軌道変位のうち、複合変位については、国鉄時代の昭和30~40年代にかけて頻発した2軸貨車の脱線事故の対策として定められました(図1)。そのため、現在運用されているボギー車に対しては必ずしも最適な指標とはなっていないことから、新たな複合管理指標への見直しが求められています。 そこで、現行の主要なコンテナ車モデルおよび旅客車モデルを用いた車両運動シミュレーションを実施し、新たな複合管理指標および管理値を検討しました。
2.新たな複合管理指標案
コンテナ車モデルの車両運動シミュレーションで、積載条件や走行速度、軌道変位波長、振幅、波数等を変化させながら、走行安全上の動的輪重減少率の目安値80%となる逆位相の水準変位と通り変位の組み合わせを試算しました。その結果を基に、輪重減少率80%を超えず、さらに安全率も見込んだ、新たな複合管理指標を提案しました(図2、図3)。従来の複合変位の基準値に相当する線と比べると、水準変位については従来の基準値より厳しくなり、通り変位については緩和される可能性があります。
3.旅客車の乗り心地も考慮した複合管理指標案
旅客車モデルの車両運動シミュレーションを実施し、コンテナ車の走行安全性向上に加えて旅客車の乗り心地向上も図れる複合管理指標を検討しました(図4、図5)。図中に黄色塗りで示した範囲で水準変位および通り変位を管理することで、コンテナ車の走行安全性と旅客車の乗り心地をともに良好に維持できると考えられます。
なお、ここで示した複合管理指標および管理値はあくまでも現行の主要なコンテナ車および旅客車モデルでシミュレーションした場合の検討結果であり、今後、提案した指標の適用範囲の検討を進めます。
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参考文献
- 吉田尚史,坪川洋友:軌道変位の新たな複合管理指標の開発に向けた検討,新線路,Vol.80,No.3,pp.34-36,2026
