無線センサネットワークの通信品質・消費電力シミュレータ

概要

鉄道沿線設備の状態監視や異常検知のためには、センサから得られた情報を拠点まで届ける必要があります。従来の有線ネットワークの代わりに無線センサネットワーク(WSN)を用いると、通信ケーブルの敷設や管理のためのコストを低減できるほか、バッテリ駆動とすることができる場合には電源ケーブルも不要となります。これまでケーブル敷設が困難だった場所にもセンサが設置できるようになることで、将来的な作業の省力化につながります(図1)。

WSNを導入する際には、通信品質や消費電力を考慮してノード配置などの設計をする必要があります。そこで、鉄道事業者がWSNの導入を検討する際に、バッテリ交換周期やコスト、通信品質の確保などを机上で試算できるシミュレーションツールを開発しました。

無線センサネットワークの通信品質・消費電力シミュレータ

さまざまな無線方式のうち、Wi-SUNとLoRaを対象としたモデル化を行い、ノード配置に応じたデータ到達率や消費電力量を推定するシミュレーションモデルを構築しました。また、Webブラウザ上でWSNのノード配置の設計やバッテリ交換周期の推定が可能なシミュレータを開発しました(図2)。ノードの位置やアンテナ高さなどのパラメータを入力すると、直ちにシミュレーションが実行され、通信経路や消費電力量のグラフが表示されます。

鉄道総研所内試験線沿線にWi-SUNおよびLoRaの実機を用いたWSNを構築し、シミュレータの検証試験を実施しました。その結果、データ到達率・消費電力量を95%以上の精度で推定できることを確認しました。本シミュレータの活用により、実機を設置する前に机上でWSNの設計ができるようになります。

参考文献

  1. 細川雄太:無線センサネットワークにおける通信経路および消費電力量シミュレータ、第376回鉄道総研月例発表会、2025
  2. Yuta Hosokawa, Yuki Ogawa, Ryuta Nakasone, Minoru Tanaka, and Kazuki Nakamura, “User-friendly Simulator for Estimating Power Consumption and Communication Availability in Wireless Sensor Networks,” International Journal on Advances in Networks and Services, Vol.18, No.3&4, pp.12-23, 2025.(※)

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