構内用軌道部材状態検査装置
1 .構内用軌道部材状態検査装置の概要
軌道の維持管理では、軌道部材の状態把握が重要であり、従来は徒歩による目視検査が主に行われてきました。近年、一般軌道区間では営業車等の車両搭載装置を用いた検査の機械化が進んでいますが、分岐器を含む構内では、軌道部材が多種多様であることや車両運用の制約から、機械化が進んでいません。
本研究では、分岐器を含む構内における検査の効率化を目的として、手押し式の構内用軌道部材状態検査装置を開発しました(図1)。また、検査時に取得した画像は、専用のビューワ上で確認・管理することが可能です(図2)。
2 .物体検知による軌道部材の異常判定システムの開発
開発した本装置を用いて、在来線の駅構内における分岐器で撮影した画像データを対象に、検査対象となる軌道部材や、軌道部材の異常状態(ゆるみ、脱落)についてラベル付け(アノテーション)を行い、教師データセットを作成しました。 作成した教師データセットを用いて、物体検知モデルを構築し、軌道部材およびその異常状態の物体検知を行いました。本研究では、プレート類や継目板といった軌道部材、およびそれらのゆるみや脱落といった状態を検知対象とし、主要な軌道部材の物体検知やボルト脱落の異常状態は8割程度の精度で検知できることを確認しました。(図3、図4)。
3.差分検知による軌道部材の異常判定システムの開発
本装置で取得した画像を用いた異常検知手法として、差分検知をベースとしたアルゴリズムを構築しました。 この手法は、撮影条件の変動や背景の微小な変化によって誤りの差分が発生しやすいという従来の課題に対し、フレーム対応付け、物体検知による領域限定、および照度ムラ補正の3つの処理を組み合わせ、影やバラストの変化といった背景起因の誤検知を大幅に抑制し、部材形状の変化のみが強調されるように画像を補正しています。これらの処理により、物体検知で限定した領域内における局所的変化のみを明瞭に抽出できます(図5)。
