低温性能とメンテナンス性に優れた新幹線電車車軸軸受油

1.概要

新幹線ネットワークの寒冷地への拡大により、車軸軸受に使用される潤滑油には低温性能の向上が求められています。また、鉄道総研が過去に開発した、合成油を用いて低温性能を向上させた潤滑油(アクスルーブ)は、紫外線により赤色化し、摩耗粉の混入と区別できないことがメンテナンス上の課題でした。そこで、低温性能とメンテナンス性に優れた新幹線用車軸軸受油を開発しました。

2.特徴

  • 低温での流動性を向上させるため、基油に「高度精製鉱油」を採用するとともに、「流動点降下剤」を増量することで-40℃以下の流動点を実現し、開発した潤滑油(開発油と呼ぶ)は低温性能が大幅に向上しています(図1)。
  • 添加剤として赤色化を抑制できる物質を使用しました。屋外暴露試験により、アクスルーブで生じる赤色化が開発油では抑制されることを確認しました(図2)。
  • 実物の車軸軸受を使用した80万km走行相当の台上試験を行い、開発油の耐久性を検証しました。その結果、試験後の油の性状や試験軸受に異常はなく、良好な耐久性を有することを確認しました(図3)。