ポストテンション式プレストレストコンクリート桁の維持管理手法の開発

1.はじめに

プレストレストコンクリート桁(PC桁)が建設されてから50年余りが経過している現在、10,000連以上のプレストレストコンクリート桁が鉄道橋として供用されています。プレストレストコンクリート桁のうち、ポストテンション式プレストレストコンクリート桁においては、グラウトの品質、および施工に起因するグラウト充填不良がかねてから指摘されています。プレストレストコンクリート桁特有の問題であるグラウト充填不良はPC鋼材の腐食を招くなど、PC桁の安全性に関わる大きな問題です。

2.主ケーブルの破断に伴うプレストレストコンクリート桁の残存耐力評価法の開発

本研究では、要素試験で得られたPC鋼材とグラウトの付着特性を用いて、主ケーブルが破断した場合のプレストレス減少区間及び量を予測し、残存耐力を評価する手法を提案しました(図1、2)。なお、提案した評価法の精度は、実物大PC桁を用いた載荷試験から確認しています。

3.拡底式あと施工アンカーによる部分補強工法の開発

開発した評価法により予想されたるプレストレス減少区間のみに、拡底式あと施工アンカーで鋼板を接着する部分補強工法を開発しました(図3)。拡底式あと施工アンカーを用いたことで、拡張部が機械的に固定されるため、接着系アンカーに比べ、高い耐久性が期待されます。

4.「ポストテンション式PC桁の維持管理マニュアル集」の発刊

これらの成果に基づき、「ポストテンション式PC桁の維持管理マニュアル集」を作成しました。

本研究の一部は、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。

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参考文献

  1. 公益財団法人鉄道総合技術研究所:ポストテンション式PC桁の維持管理マニュアル集、2013.12
  2. 渡辺健、轟俊太朗、堀慎一、谷村幸裕:プレストレストコンクリート桁に対する部分鋼板補強工法の開発、鉄道総研報告、第27巻、第6号、pp.31-36、2013.06

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